« 初心忘るべからず | トップページ | ヒトラー~最後の12日間~ »

2005年11月 6日 (日)

能の魅力

s-DSCF0778

 昨日、安楽寺では千葉昭彦副住職のお話に続いて、観世流シテ方高橋京子さんから能についてわかりやすくお話いただきました。高橋さんは鳴門市に在住され、能楽観世流シテ方師範としてご活躍の傍ら、県内小中学校で総合学習の一環として「わかりやすく、楽しい能」の授業を展開されているそうです。
 昨日は、能の歴史に始まり、面や扇の種類と決まり事を教わり、さらに「高砂」をみんなで一緒に謡い、「筒井筒」や平家物語の「敦盛」の仕舞を見せていただきました。特に最後の「富士太鼓」のあらすじと仕舞には心打たれました。「太鼓の名手に富士と浅間という二人の楽人がいた。朝廷からのお召しが浅間にあったと知った富士は居ても立ってもいられず、妻の引き止めも聞かずに役を望んで都へ上る。その後、妻は夢見が悪く、不吉な予感を覚え、子を伴い都へ上る。ライバルの浅間は富士のふるまいが憎く富士を討ったと聞いた妻は仇を討つと太鼓を打つ」という話です。高橋さんは大学生のころにこの能を見たとき、女と子どもだから浅間に対して仇討ちができず太鼓を打ったと理解していたけれども、9.11テロの後、憎しみは憎しみの連鎖しか生まないことに気づき、浅間を討ったならば今度は浅間の遺族が自分達を仇だと打とうとする、それを悟った妻が太鼓を打ったと理解したと言われました。
 能が600年余りも続いてきたのは、単に技術を伝承しているのではなく、その時代時代で演じている人自身の人生を演じているのだとわかりました。
 

|

« 初心忘るべからず | トップページ | ヒトラー~最後の12日間~ »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 能の魅力:

« 初心忘るべからず | トップページ | ヒトラー~最後の12日間~ »